自生人とは
鮎川二郎同窓会長(7期卒・現千葉商科大学教授)
同窓会報36号(平成28年6月10日発行より)
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東邦中高等学校同窓会の新呼称「自生人」が誕生しました
一.はじめに
母校である高校は1952年に,中学は1961年にそれぞれ創設され,1955年には高校第一期卒業生を世に送り出しています。以来,今年で第五十五期生が卒業し,同窓生総数が19,220名となりました。これまで半世紀余りを迎える間,同窓生の皆様におかれましては全国各地のさまざまな分野にてご活躍のことと心からお慶び申し上げます。
現同窓会は,平成9年9月15日の定例総会を機に新体制にて再スタートして以来,学校法人・母校と父母会の習志会との三位一体の関係を維持しながら順調に活動を続けています。十数年前,はからずも私が会長に任命され,会務正常化の重責を痛感しながらも有能かつ積極的な新役員が会務に参加していただくことになり,協力して母校の発展に寄与し得る様な健全で民主的な同窓会を築いていくことを実践しています。
二.同窓会の新呼称を「自生人(しせいにん)」とする
かつてから同窓会を呼称する会名が存在していなかったため,会報等で募集をしていたもののふさわしい名称が見当たりませんでした。そこで平成20年度の同窓会総会(帝国ホテルにて開催)において,私から会名を提案し,審議していただ いた結果,満場一致で賛成されましたので,この紙面でご紹介し,今後同窓会が存在する限り会員をはじめ母校関係の皆様や学校法人に関わる広範な方々にも愛称として親しんでいただきたいと思います。
三.「自生人(しせいにん)」と命名した根拠とは
同窓会名を「自生人(しせいにん)」とした根拠は,母校の創設者額田晋先生が生涯をかけて「人が力強く生きる道」を問い明かした「自然・生命・人間」の著書にあります。学校法人東邦学園の建学の精神・教育理念を象徴するこの著書は,1957年に刊行されたもので,次第に蔵書が少なくなり,読まれる機会も無くなりつつありました。折しも2002年に東邦中学・高等学校が創立四十・五十周年記念を迎えることから,法人関係機関のさらなる発展とそこで働く人々や学徒に建学の精神を今一度広く知っていただく一助とするべく,同窓会事業として学校法人や額田家のご同意を得て,さらに母校関係者のご理解とご協力を頂きながら復刻本として刊行しました。それ以後,「自然・生命・人間」の版権を同窓会が担い,同書は毎年の中高新入生全員と新任教員用に400冊を寄贈させて頂いております。後にこの同窓会事業は,大学法人からも要望があり,オール東邦大学関係(各学部・看護短大など)の新入生や新任職員用として2,000冊を毎年寄贈させて頂いております。
「自然・生命・人間」の寄贈事業は,同窓会にとっては母校と共に存続する限り,最も重要な支援事業として位置づけ,会員や後輩たち,そして大学法人関係機関にお役立てできることを念願している次第です。
最近は,こうした事業や他の母校支援事業などを通じて,母校や大学法人にも次第に同窓会の存在が評価され,役員一同は同窓会員を代表しての会務のやり甲斐を感じているところです。
このような状況の中,同窓会の呼称を企画するに当たり,前述の総会前から大学法人本部に寄贈事業の「自(し)然・生(せい)命・人(にん)間」の各頭文字を採りいれて,「自(し)生(せい)人(にん)」 の採用許可願いを申し上げたところ,額田家関係者とのご承諾と併せて法人からも了承が得られましたので, 総会に提案するに至った次第です。
「自生人(しせいにん)」は,いうまでもなく学校法人東邦学園の建学の精神・教育 理念を象徴する会ですが,敢えてもうひとつ意味する会として,同窓会は「自立して生きる人」=「自(じ)生(せい)人(じん)」の会員組織であるとしたいと思います。
「自(し)生(せい)人(にん)」は,東邦中高等学校同窓会の人格にもさせて頂き,またブランドにもさせて頂き,呼称の誕生を契機にそれに相応しい組織として真の倫理観と誇りを持って運営し,会員相互の親睦と向上発展をはかり,かつ母校の発展に寄与することを目的に役員相互が一致団結して各種事業を行いたいと考えています。
同窓会の新たな呼称「自生人(しせいにん)」の誕生を契機に,会員の皆様におかれましては同窓会事業へのより一層の参加と連携・協働を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
同窓会では平成14年,母校中高の創立40・50周年事業として同著書の復刻版を発行して以来,継続的に頒布しています。ご希望の方は同窓会事務局までお問い合わせください。
今回は敢えて会報の紙面をお借りして「人間力」に関して思うが儘に筆を走らせましたが,母校後輩や同窓生をはじめ,関係の皆様に少しでも身近で重要な今日的課題を考える機会にでもなれば幸いです。
平成21年 同窓会会報 第29号より(抜粋)
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